こんにちは、こんばんわ、坂本です。
「水上の格闘技」であるボートレースは、かなり厳しい訓練を経た超エリートレーサーたちだけが勝負している世界。しかも、その中で勝たなければお金にならない…という相当シビアな職業として知られています。
しかし、メディアはボートレーサーを、「儲かる仕事」として紹介しており、個人的には何だかな…と思ってしまうことがあります。その理由について考えていきたいと思いますね。
●大山レーサーについて
先日、TBSで土曜に放映されているバース・デイという番組を見ました。
ジャニーズきってのレジェンド男“東山紀之”がプレゼンターをつとめる番組(彼は台本をものものしく読んでいるだけけど…)で、活躍分野で活躍している人たちに焦点を当てているものです。
じつは、バース・デイでは2016年に“日本のボートレース界最強のママレーサー”ということで長島万記レーサーを取り上げているのですが、今回はまた女子レーサーが取り上げられていました。それは誰かというと…齢23歳にて賞金女王となったことで大きな話題をかっさらった大山千広レーサーです。
GI全日本王座決定戦などを制覇するなど、今とにかくノリに乗っている選手であり、彼女のその活躍と過去について掘り下げた番組構成に。また、母親も大山博美レーサーであるというストーリー性も相まって感動的な内容となっていました。しかし、どうでしょうか…。
●特別な存在
大山レーサーは、正直言ってかなり特別な存在ではないか、と感じています。年間5000万円を賞金で稼いだ、という事で伝えられており、夢がある仕事でもあると解説されています。
さらに、マスコミにもボートレーサーは儲かる…ということで特集されていたり、その豪邸を晒すなどいろいろと本質と関係無いことが特集されています。
確かに、夢があることは絶対的に重要な内容だと思います。もし、どんなに活躍しても年収が1000万円にも届かなかったら誰もプロ野球選手やサッカー選手、F1レーサーなどを目指すことはないでしょう。
あくまで、活躍したらメチャクチャ凄まじい年俸をもらえる…ということがあるからこそ、わざわざニュースで年俸を公開しますし、これ見よがしに豪邸や超高級車、超高級時計を見せつけてスポーツ選手は闊歩しているのです。しかし、その人たちも全体の中でごくごくわずかですし、全てそんな甘い生活ができるわけがありません。
●ギリギリの人生
野球、サッカーであればまだいいでしょう。国民に愛されているスポーツであり、応援する側はそれを応援したところで1円も収入が増えることはありません。
要するに、ただの“ファン”で終わっていくわけです。しかし、ボートレースの場合は我々のような一般人から有名人までがお金を賭ける、いわゆる“ギャンブル”でありスポーツという括りでいいか微妙な立ち位置にいます。
つまり、稼げるお金だけみれば華やかなイメージですが、結果的にはギャンブルに加担している存在。なかなか、公共の電波でわかってもらえない職業のひとつともいえます。
●CM見たことありますか?
“いや、ギャンブルに加担しているとは何事だ!彼ら、彼女たちは真剣に水上で勝負をし続けており、命すら賭けているのだぞぉ!?”と、怒る方もいるでしょう。
その理由はよくわかります。坂本だって、ボートレーサーはギャンブラーたちから金を取ってる立場である…といえば怒りたくなりますよ!でも、冷静に考えてください。野球やサッカーと違ってボートレーサーが大変であることは、CMにも出演できない…ということです。もちろん、地元のCMなどには登場しているかもしれません。
しかし、全国規模のCMで超有名メーカーなどのキャンペーンなどで出ることはかなり少ないと言えるのではないでしょうか。
やはり、数多くの方からみてギャンブルに加担している人間をイメージキャラクターに添えるということは、そういった動きを認める…ということだね?という印象を与えてしまいます。企業は、商品品質もありますが全てがイメージで構成されているといっていいでしょう。
アルコールなどもそうです。アルコール自体を麻薬に認定すべき、という動きだってあるとかないとかいわれています。ギャンブルだってそうでしょう。やはり、ボートレーサーはCM出演や全国規模のお茶の間が喜ぶ番組に出演しにくい…というのが定説なのです。
●つまるところ…
さて、つまるところ何がいいのか?ということになりますよね。ここら辺りで、坂本が今回の内容についてまとめていきたいと思います。
まずひとつが、ボートレーサーは賞金で食べているわけですので、“勝たないと金が入らない”ということです。野球選手やサッカー選手は年俸制ですので、1億円の年俸だった場合、何らかの問題が発生してケガをしてほとんど試合に出れずとも、成績が悪くても1億円の年俸は約束されています。しかし、来年はわかりません。
まぁ、昔活躍していれば来年こそはやってくれるだろう、ということで年俸は来年8000万円などで譲歩してくれる奇跡も起こります。
しかし、ボートレーサーは昨年1億円稼いだとしても、今年同じような賞金を稼げるかは不明。さらに、1億円は当然課税されるのでその分は最低でも稼がないと超絶貧乏です。ケガでもしたら…。考えるだけでぞっとしませんか?
●副業も厳しいか?
もちろん、ボートレーサーの中には副業をされている方もいるでしょう。でないと、食べていけない…ということもあるからですね。しかし、大した金額にはなりません。
さらに、先ほどのCMなどが良い例です。CMやバラエティなどに引っ張りだこになるルートができていれば、レースで勝てなくても設ける手段があります。つまり、食いっぱぐれないで済むということです。
しかし、ボートレーサーの主戦場はボートレース。そもそもギャンブルですのでなかなかCMに抜擢されにくく、さらに相当な活躍をし続けないとマニアックなオッサンたちが喜ぶ的でしかないわけです。
●甘い世界ではない
ボートレーサーは、水上をぐるぐるまわっているだけで数千万円も稼げる…。
そんな簡単な紹介のされ方をしていますが、そんなのは全体の1%にも満たない人数でしょう。普通のレーサーは、普段の生活のために必至で毎日を過ごしています。
まぁ、明るく楽しくやっているとは思いますが、気を抜けば負けて一文無しですし、最悪事故を起こしたらあの世いきです。そもそも、フライングなどを続けたら出場停止ですし、じつは相当実力主義の世界でもあるわけです。
ボートレーサーは儲かるからいい商売だ!とか、ボートレーサーは儲けすぎ!マジでいいわ、舟でグルグルするだけで!というイメージは二つとも違うわけです。ボートレーサーは、本当に毎日命がけです。来年のことどころか、明日のことだってわかりません。
じつは、もっともギャンブルをしているのはレーサーたちであり、我々のような一般市民ではありません。ボートレーサーはおいしい…という発想はひとまず捨て、シンプルに地道に応援していきたいと思います。